

鳥類の中でも海鳥は急激に減少しています。約330種の海鳥のうち3分の1、アホウドリに至っては22種のうち19種で絶滅が危惧されており、早急の保全対策が求められています。海鳥の数の減少の原因として、ネズミなどの外来生物による捕食や海洋汚染、繁殖地の破壊、狩猟などの人為的撹乱など、様々な要因があげられていますが、最大の脅威は、漁業による混獲です。海洋には国境はなく、海鳥の保全はグローバルで進める必要があります。
海鳥の混獲の減少と生息環境の保全、そのためのネットワークづくりを目的として、バードライフは、1997年、各国の関係団体とともに、Global Seabirds Programme (GSP:世界海鳥保全計画)を設立しました。混獲を回避する漁具の開発や漁業者への直接指導、漁船の監視員の派遣、各国政府への保全の働きかけなどを行っています。
2009年2月、GSPの積極的な働きかけで、南アフリカの混獲に85%の改善がみられたとの発表がありました。これは、はえ縄漁の釣り針の改良によりもたらされました。
混獲とは、漁業において、対象とする魚種以外の種が偶発的に捕獲されてしまうことで、海鳥、ウミガメ、海洋哺乳類、さらに漁業対象以外の魚種も含まれます。海鳥では、刺網に絡まったり、はえ縄漁業の釣り針にかかったりすることで、莫大な数が命を落としています。特に、はえ縄漁業による混獲の被害は深刻で、毎年30万羽の海鳥が犠牲になっており、アホウドリ類だけでも10万羽にのぼります。
アホウドリ類など大型の海鳥は、海面付近の魚やイカを採食します。はえ縄漁では、釣餌として魚やイカを海に投入しますが、これらは、海鳥にとって魅力的な餌となります。海鳥は餌を釣針ごと呑み込んでしまうことで、釣針が喉にひっかかり、海中に引きずりこまれて溺れ死んでしまうのです。
混獲を防ぐためのミティゲーション(混獲回避措置)が提案されており、各水域のまぐろ類地域漁業管理機関(RFMO)ごとに、使用するミティゲーションが決められています。日本の漁業者によって考案されたトリポールと呼ばれる鳥よけは、最も普及しているミティゲーションの一つです。その他、はえ縄の夜間設置や、海鳥が餌を取る前に釣餌を早く沈ませる効果のあるおもりの使用など、様々なミティゲーションが提案されています。これらの対策の徹底には、漁業関係者の意識の向上と違法な漁を行う船舶の監視・指導が不可欠です。また「アホウドリ類及びミズナギドリ類の保存に関する条約」(ACAP:日本は未加盟)のような国際法によって、保全を強化する事も大切です。
海鳥の数の推移
IUCNのデータは、他の鳥類に比べて海鳥が急激な速度で絶滅の危機に向かっていることを示しています。
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アホウドリの仲間は寿命が長く、ペアは生涯連れ添い、協力をして雛を育てます。繁殖可能な年齢に達するのに10年かかるだけでなく、毎年あるいは1年おきに1個の卵しか産まないため、ひとたび数が減ると回復するのはなかなか困難です。わずかな数の減少が、長期にわたり多大な影響を与えてしまいます。写真は求愛行動中(左)のワタリアホウドリ。
© Tony Martin/BirdLife International

はえ縄にかかり命を落としたワタリアホウドリ
© Graham Robertson/
Australian Antarctic Division

一回のはえ縄漁で混獲された海鳥を写したものですが、60羽以上が犠牲になっています。
© P Ryan/Fitzpatrick Institute