■BirdLife International News
バードライフ・インターナショナルのホームページに掲載されたニュースを定期的に紹介しています。
● 世界の水鳥事情: アジアでは問題が、西側諸国では回復基調 (11月8日)

過去30年を通して水鳥の個体数の減少率はやや下がりました。しかし、水鳥の種の47%は依然として個体数が減少を続けており、増加している種は16%に過ぎません。水鳥の状況に改善が見られるのは主として北アメリカとヨーロッパで、アジアでは最悪です。特に、長距離の渡りをする水鳥が影響を受けやすいようです。
このような情報はウェットランド・インターナショナルが先ごろ発表した‘世界の水鳥の現状 2010’報告書による主要な研究結果です。この新刊書は1994年以来4回発行された‘水鳥の個体数推定’で集められたデータを用いて、1976年から2005年までの間における水鳥の個体数の変化を分析しています。
報告書では北アメリカやヨーロッパなど強力な保護法案が施行されている地域においてどのように水鳥の個体数が回復しているかを示しています。
一方、このような保護手段の無い地域ではすべて水鳥の減少率が増加をしています。特にアジアにおいては状況は憂慮すべき状態にあり、水鳥の個体数が62%も減少し、中には絶滅した種も見られるのです。
「急激な経済成長と不十分な保護対策が致命的要因に思えます。水鳥は湿地や湖の喪失や劣化を招く農業の集約化や持続不能な狩猟、気候変動の影響など様々な脅威にさらされています。」とバードライフの科学部長アリ・スタッターフィールズは言いました。
長距離の渡りをする水鳥の状況は強力な保護手段が取られている地域の留鳥と比べると一般的に良くありません。このことは渡り鳥の繁殖地から非繁殖地までのフライウェイ全体での組織的な保護手段の重要性を強調するものです。
「長距離の渡りを行うシギ・チドリ類の減少率が最も早く加速しているのは驚くことではありません。現在、これらシギ・チドリ類の個体群の70%が減少しています。彼らの渡りの中継地の破壊を止めることがきわめて重要です。」とラムサール条約の副事務総長のニック・デイヴィッドソン博士は言いました。
一方、多くのツル類の状況が良くなって来ているのは重要サイトをターゲットにした保護活動が良い結果をもたらすことを示しています。
「私たちはこの地域の水鳥の保護にもっと努力を傾注しなければならないと感じています。」と今回の出版を支援した環境省参事の黒田大三郎氏は付言しました。
「途上国における水鳥の減少はこれらの国々における環境問題を示すものです。日本で行われる国連会議に集まる世界の政府はこの傾向を逆転させる行動を取るべきです。」とウェットランド・インターナショナルのフライウェイ・プログラム部長のTaej Mundkur博士は言いました。
●バード・コリア・ブループリント2010について (11月4日)
写真提供: Neil Moores/バード・コリア
バード・コリア・ブループリントは、国連のミレニアム開発目標に対する誓約と並んで、2010年までに生物多様性の喪失率を減少させるための韓国の活動の一部として、現在行われている保護活動イニシアティブを支援することを目標にしています。
それは生物多様性が人類も生活と生計を依存している生態系の機能を補強していることへの理解に立脚した論文や勧告を集めたものです。ブループリントの焦点は黄海の韓国領土部分(または、‘黄海ブループリント地域(YSBR)’における鳥類の多様性保全であり、また、3つの主要な生息地(潮干帯の湿地、外洋および島嶼)に分けられた主要サイト、種および保護イニシアティブに関する重要な情報を含んでいます。
YSBRは東アジアーオーストラリア・フライウェイの心臓部にあり、毎年記録される340種のうちの34種が世界的絶滅危惧種です。同時にYSBRは大きな開発圧力を受けている地域でもあります。干拓が鳥類の多様性を減じる主要な要因で、潮間帯の湿地の70%以上が減少し、CBD(生物多様性条約)への第4次国家報告の中の残されている‘海岸湿地’は推計値の半分以下の106,000ヘクタールしかありません。残された潮間帯湿地の状態も公害、湾岸ダムと4大河川プロジェクトを含む川沿いのインフラ開発による脅威を受けています。
多くのシギ・チドリ類や潮間帯湿地に依存する種がこのために減少し、あるいは世界的に脅威にさらされています。多くの進行中のプロジェクトの一つである40,100ヘクタールのセマンジウム干拓プロジェクトは既に2万人の地元の人々の生計手段の喪失となり、またこの場所およびフライウェイのレベルでシギ・チドリ類の目に見える減少を招いています。さらにそこにはオバシギの世界中の個体数の20%減少が含まれています(IUCNのレッド・リストでの絶滅危惧U類の再評価が求められています)。仁川の潮力発電所などの更なる干拓および巨大プロジェクトは今以上の大きな生息地喪失と個体数減少の原因になるでしょう。
●自然界のバックボーンが危機に瀕している (10月27日)
写真提供: ポール・ガーランド flickr.com
世界の脊椎動物に関する最も総合的な評価によれば5分の1の種が絶滅の危機に瀕していることが確認されました。名古屋で行われた生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)で発表された論文によれば、この状態はもし現在世界で進められている保護活動がなければもっと酷かっただろうとしています。
国際的な科学雑誌‘サイエンス’誌に掲載されたこの論文では、世界中の脊椎動物(哺乳類・鳥類・両生類・爬虫類・魚類)の現状とその状況が時の経過とともにどのように変わってきたかを調べるために国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種のレッドリストから25,000種のデータを利用しました。その結果、農業の拡大・森林伐採・過剰な開発・外来種の侵入などの影響により、哺乳類・鳥類・両生類の50種が毎年絶滅に近づいていることが示されました。
「生物多様性の’バックボーン’が侵食され続けているのです。」とアメリカの偉大なエコロジストで著者のエドワード・ウィルソン教授は言いました。「レッドリストで一段だけ上がることは絶滅に向かっての大きな一歩なのです。この論文は現在進行している地球全体での生物種の喪失を覗く小さな窓のようなものです。」
東南アジアは、主としてパーム油などの輸出用植物の栽培、商業用の堅木材事業、田んぼへの農業の転換、持続可能でない狩猟などにより近年生物種の劇的な減少が起きています。中央アメリカの一部、南米の熱帯アンデス地方、オーストラリアでも顕著な生物種の喪失に見舞われており、特に両生類に対する致死的なツボカビの影響は甚大です。
この論文は生物多様性の喪失が今もなお続いているというこれまでの報告を追認したものですが、一方、世界中で行われている保護活動のプラスの影響の明白な証拠を示したものとしては初めての論文です。
論文では保護活動が成功したことにより状況が改善された64種の哺乳類、鳥類、両生類について強調しています。これには野生では絶滅した種がその後自然界に再導入された3種が含まれています: 米国のカリフォルニアコンドルとクロアシイタチ、およびモンゴルのモウコノウマの3種です。
写真提供: カース・ミューレン(バードライフ)
保護活動は特に島での外来種との戦いで成功を収めています。セーシェルシキチョウ(写真)は1965年には15羽以下だったものが、ドブネズミなどの外来種の駆除および飼育下繁殖と再放鳥プログラムにより2006年には180羽に増加しました。また、モーリシャスでは1974年にはたった4羽だった個体数が1000羽近くまで回復したモーリシャスチョウゲンボウなど6種の鳥が個体数の回復を達成しました。
論文は脊椎動物の中で絶滅の危惧がある種は鳥類の13%から両生類の41%までの幅があることを強調しています。また、論文は脊椎動物を中心にしていますが、その他のIUCNのレッドリストで査定された生物グループの危機の度合いにも言及しており、海草の14%、淡水性ザリガニの32%、造礁珊瑚の33%が危機にあるとしています。
中でもソテツ類の危機度は非常に大きく63%が絶滅の危険にあるとしています。現存する最古の種子植物のグループであるソテツ類は不法な採集や商取引の対象となり、恐竜と同じ道をたどる危険にあります。


